夏の名前




さすが田舎で、運転手は昼寝していた。


起こして謝ると、バスが発車した。


誰も座っていないバスの、一番後ろに座る。



後ろの大きな窓から、ニノの姿が見えた。



そして、どんどん遠ざかってゆく。




―泣かないよ。

男だから。



でもなんでだろう。



景色が滲むんだ…。