夏の名前




最初は、躊躇して歩いていた。



(でも、もし間に合わなかったら…?)



走ってはいけない。


心の声を無視して、意思より先に身体が動き…、



―走りだす。



バスが見えた。

乗り込む相葉さんも見える。



っ、行かないで…!


声が出ない。
苦しい。



突然、視界がぐらりと歪む。



―間に合わない。


気づいてよ、お願い…っ!


相葉さん…っ!!