「ニノはさぁ、将来、歌手になろうって考えてるの?」 ゆっくりニノが口を開く。 「ここにいる限り、無理でしょうね。」 夕日でつく陰影が、ニノの横顔を、さらにもの悲しく見せる。 「たくさんの人に聴いてもらいたいかというと、そうでもないし。」 「でも、ニノの歌は素敵だよ?いろんな人に聴いてもらうべきだと思うけど。」 少しの沈黙…。 「…そろそろ帰りましょうか。」 ニノが、自転車のほうへ歩き出す。 帰り道は、何も話さなかった。