車のクラクション、バイクのエンジン音、救急車のサイレン。



東京の夜は、耳障りだ。




ビルの屋上。

貯水タンクにもたれかけ、私はただただ、東京タワーを見つめていた。





東京にいる理由。



そんなの分からなくなるほど、私はちっぽけな存在で。


仕事も恋愛も、人間関係もなにもかもがうまくいかない東京で、私は生きる意味すら忘れかけはじめている。







愛。



それが私の名前だけれど、この街じゃ誰も笑顔で呼んでくれない。


それこそ、愛のない呼び方だけ。





「はぁ~…」



私は、見えない星を探しながら
長いため息をついた。