「ねぇ、モデルって何すればいいの?」
佳世は貯蔵庫の電気を消しながら出て、近くにあった自動販売機の前に行った。
「樹くんって、どんな写真を撮ってるの?」
「僕はまぁ、色んなものを撮ってる。まだどういう風にとは決めてないんだけど…。コンテストに出そうと思ってて」
「コンテスト?」
「うん、姉から誘われて」
それは、2週間ほど前のことだった。
3日後にボリビアへ行くと言う姉から夕食に誘われた時に、フランスで開かれるという学生写真家のコンテストを紹介された。
『久野清二の息子だということがこのコンテストで知れたら、世界は樹のことを放ってはおかないはず』
姉は、そう僕に言い掛けた。

