「このような感じになりましたが…どうでしょうか」



真理子さんの髪に軽くワックスを揉み込んで、私は彼女のケープを外した。


真理子さんは鏡の前で入念に私のカットを見つめている。




彼女は少し重めのAラインのロングヘアーだったので、私は思い切ってミディアムにカットし、内巻きのパーマを軽くあてた。


オーダーはカットだけだったけど、真理子さんに了承を得てパーマもあてた。


さすが最新の機械。
すごくいい感じにパーマを仕上げてくれる。




「へぇ、いい感じじゃん。オーナーも若返りましたね」



弘瀬と名乗った、華奢でおしゃれな彼はニコッと笑って私を見た。

彼はどうやら店長になるそうだ。




すると、真理子さんは席を黙ってスッと立ち上がって店の奥へといなくなってしまった。



私は、唇を噛み締めた。



やっぱり私には腕が無かったのかもしれない。きっと、私のカットは気に入ってもらえなかったんだ。


そうとしか私は思えなくて、ため息をついてホウキを手にし、床を掃除し始めた。