ワタシは高校を卒業してから、恋をすることを自分から諦めてた。



誰かと付き合うのが怖くて。


好きになるのも怖かった。また辛い思いをするんじゃないかって、すごく臆病になっていた。




だけど、彼なら
好きになってもいいかもしれない。


滝川さんなら……。







「ごちそうさまでした!」


「どういたしまして」



滝川さんは食事代を奢ってくれて、ワタシは地下からの階段を上りながら頭を下げた。


やっぱり滝川さんは優しすぎる。



ワタシと滝川さんは再び車に乗って、ほっと一息ついた。





「どうする?」


「えっ?」


「……できれば、もっと友理奈と一緒に居たいな。ダメ?」




薄暗い、車の中。


ラジオからは、ワタシの携帯電話の着信音と同じ、マライア・キャリーの新曲が流れていた。





ワタシの唇は
滝川さんにそっと奪われた。