それは、台風による土砂降りの雨が東京を襲った夏の終わり。


達彦と一緒に
学内カフェでコーヒーを飲みながら、課題を解いていたときだった。




「樹、久しぶり」



ハイヒールの音がして、その後に聞き覚えのある声がして、僕はシャープペンシルをノートの上に置いた。



「久しぶりに話さない?」


「えっ……」




そこに立っていたのは、2か月ほど前に別れた元彼女、梨絵だった。

にっこりと微笑む彼女の意図が分からず、僕は少し戸惑った。



「話したいことがあるのよ」




僕は達彦に目配せをしたのだが、なんだかおもしろがっている様子で、結局僕は達彦との席を外した。


そして、奥の窓側の席へと移動した。