次の日の朝。

玄関のドアが開く音で恋助は目覚めた。


あくびをしながら時計を見る。

9時20分。ずいぶん寝坊したものだ。


ベッドから降りて、テーブル上に散らばった酒の空き缶を片づけているところに、織理江が入ってきた。

手には、お茶やら食べ物やらの入った袋が下げられている。


「やっと起きたの? 飲み物なくなってたならそう言ってよね」

「おう」


確か昨日一緒に飲んで、余りに話が弾んだのですっかり遅くなってしまい、織理江は恋助の部屋で寝た。

他人が聞いたら、男女が同じ場所に寝るなんてドキッとするシチュエーションだが、二人にとってはいつものことだった。


「やっぱり、恋助の部屋にして正解だよね」

「何が?」

「拓也くんのパーティの話。広いし、物なくて貧寒だし、案外きれいにしてるし」

「貧寒は余計や! 無駄がないって言え!」

「違うでしょ、あたしが掃除してあげたんじゃない」

「あらまあ、よくご存知で」


恋助は苦笑いで、キッチン脇のごみ箱に缶を捨てた。

織理江はコンビニで買ってきたペットボトルや食べ物を、冷蔵庫にしまい込んでいる。


「太田くんな、夕方、そこのコンビニでバイトしてるんやで」

「へー、そうなんだあ、ちょっと見てみたいかも。可愛い笑顔で迎えてくれそう」

「まあ、笑えば可愛らしいからなー、女に見られるのも分かるわ」

「あーっ、またそういうこと言う! 決め付けちゃダメって言ってるでしょ!」


恋助は手を振って弁解する。


「ちゃうねん、順二が!」

「順二?」