『ごめん……、母さん、ごめん』 俺は小さくなった母さんの背中を見つめ、そう呟いた。 もう触れることも出来ない母さんの背中。 悲しくても、涙を流すことすら叶わず、その場を離れたくても、体の傍から離れる事も出来ない。 『魂のくせに……不便だな』 親父と話していた人が俺の体を病院から運び出すまで、俺はただ無言で頬をなでている母さんを見ている事しか出来なかった。