俺は親父の挨拶を一言一句逃さないように、しっかりと耳を傾けた。
親父の姿をしっかりと目に焼き付けた。
もちろん……隣で遺影を持つ母さんの姿も。
そして、いよいよ最期という時も、親父は泣き続けていた。
もう見る事すら叶わない俺の姿は、棺と坊さんの読経と共に壁にある扉の奥へと、丁寧に入れられた。
『じゃあな……俺』
俺は、俺を見送ると、両手を合わせ泣いてる、親父と母さんの前へと立った。
もちろん、見えてはいない。
『母さん……俺を生んでくれて、ありがとう。親父……父さん、ごめん、俺、父さんの事、大好きだった。ずっと大好きだったから……』
あぁ、やっとわかった。
俺は父さんと母さんが大好きだったんだ。
親父……なんて突き放した言葉を使っていたけれど、俺は、昔みたいに、父さん……お父さんって言いたかったんだ。


