逝く前に









「母さん、しっかり…しなさい」








我を忘れた様に俺に縋って泣く母さんに声を掛けたのは、親父だった。




母さんの肩を抱き、棺から離そうとしている親父の手は震えていた。








『……親…父?』








震えているのは手だけじゃない。




肩も震わせている。









親父が……泣いてる。








初めて見た親父の涙だった。