昨夜同様、今日も坊さんの読経が始まった。 昨日と違うのは、二つ読経を読んだ事だ。 どうやら、初七日法要ってのも一緒にやってしまうらしい。 『だったら、お経もまとめて一つにしちゃえばいいのに……』 俺は長い読経を聞きながら、親父の前に立った。 相変わらず、目を伏せ微動だにしない。 俺はそんな親父の心を読む事は出来なかった。 『魂にテレパシーって機能はないのかねぇ……』 親父の頭に手を添えるが、やはり何も感じない。