「綺麗になったね……うん、良かった」
母さんの声が静かな中に聞こえ、俺は再び自分に向きなおった。
そこには、確かに俺がいた。
頬こそ痩けてはいたけど、無精髭はなく、唇の紫はあまり目立たないよう化粧をしてくれていて、ただ眠っている……いつもの俺だった。
白い棺に入れられた俺は、白づくめだった。
俗に言う……死装束ってやつ。
わらじや六文銭が入った頭陀袋なんかも身に付けられていた。
『三途の川でまで金取るのかよ』
俺のそんなツッコミを誰も笑ってくれない。
聞こえないんだから当たり前なんだけど、それが何か寂しかった。


