『ここは……どこだっけ?』








灰色の壁に囲まれた部屋の中を見渡すと、奥の台の上に誰かが横たわっていた。




首から下は布団、顔には白い布が掛けられている。








『俺……だよな』








顔が見えていた訳でははいけれど、その横たわっている誰かが自分だと確信があった。




動くことのない自分に近寄り、顔に掛かっている白い布を外そうと手を伸ばしたが、俺の指はその布を掴む事は出来なかった。




それどころか、俺の指はその布を通り抜け、下に寝かされているであろう自分の顔をも通り抜けた。