「海里くん。
何か改めて呼ぶと照れくさいね」

「夢ちゃん。
ホントだ。照れくさい」

私たちは、ケチャップとマヨネーズの匂いか充満したこのダンボールがひっくり返えされたままの部屋の中でまずは友達になったんだ。あれ?師匠と弟子だったっけな。

それから私は海里くんに手伝って貰いながら頑張って部屋の片付けをした。

散乱した調味料をキレイに拭き取り、使える衣服は畳み、汚れた物は洗濯機に掛けた。

海里くんはそんな私の様子を感心したように見ている。

「どうしたの?」

「オレ。こういうの見るのも初めてなんだ」

「そっか。おもしろい?」

普通なら明らかに変人だと思っただろう。でも、海里くんならあり得るかも…なんて思ってしまう私もどこかおかしいんだろうか。

「お掃除も明日からちゃんと教えてあげるね。頑張ろうね」

「うん!」
海里くんは子供のように本当にいい笑顔で頷いたんだ。

純粋なかわいい笑顔だった。