一度、電話料金が高額になると、監視の目が入った。

 子機電話は取り上げられて、母親が出掛けることも少なくなり、電話に触れることが難しくなった。
 思春期だったこともあり、親との口喧嘩も右上がりに増えていく。
 帰宅するのが午前様になるまで時間はかからなかった。

 それでも、パソコンに向かうことは止めなかった。
 親からの説教が罵声に聞こえ始た。
 愛情を貰っていない不幸な人間なんだと悲劇のヒロイン気取りで居た。

 この状態を招いたのは自分なのに。

「あんたは不幸の源だ」
「あんたなんか人間じゃない」
「あんたのせいでこの家は不幸になった」

 母親の言葉だ。

 当たり前の台詞。
 しかし、かなりショックだった。
 確実に自分は親からの愛情を貰っていないと勘違いするのに、充分すぎる言葉だったと思う。

 この頃からだろうか。何かに縋るように歩き始めたのは。