「あら、いらっしゃい。

琉太くん。」


お母さんの声が玄関からした。

琉太が来たんだ………。



あたしは急いで鏡に向かい合い、変なとこはないか確認する。

髪型、服装、化粧………


これは恋する乙女によくあるパターン。



「愛、入るよー。」


ドアの向こうから琉太の声がした。

あたしは自分の気持ちを隠して、だるそうに答える。


「うーん………。」


ドアが開き、琉太が入ってきた。

今日も琉太はかっこいい。



いつも思う………
こんなにかっこいい琉太が中学生のあたしなんか、本気で相手するわけない。

いくらがんばっても、琉太の中であたしは"女の子"…………

"女"には見られないんだ。



「琉太、今日は何の勉強すんの〜?」


「ん〜……

じゃあ今日は愛の苦手な国語。」


そう言う琉太の顔はすっごく意地悪そう………

惚れたほうが負けってほんとに実感する。





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