お母さんは…

死んでしまった。


…自殺…―


自分の夫が犯罪者になったショックに堪えきれず、ベランダから飛び降りたのだろう。


お母さんが自殺してなかったら、私が辛さに堪えられなくなって自殺したかもしれない。


お母さん…お母さん…



「ううっ…」

もう、この涙で最後にする。

私は…変わるんだ。


お父さんが人殺しで、お母さんは自殺。

その事はもう、心の奥底にしまっておくんだ。


誰にも気づかれないように、誰にも責められないように。



―次の日―

私は学校を辞めて、県外の学校に編入を決めた。


絶対に見返してやるんだ。


その日。

お母さんが大好きだった私の黒くて細い髪を金髪に染めた。


傷んだ髪は全てを捨てて変わる事の代償。


―数日後ー

「ねぇ聞いた?昨日来た転校生の事」
「うん、聞いた聞いた!」


コツコツ…


「ほら、来たよ」
「前の学校でもあんな髪だったのかな??」

うるさい。

「やばいっしょ!!」
「すげー!てか結構可愛いくね!?」

見てんじゃねーよ。


みんなみんな、野次馬ばっかり。

3日もすれば、すぐに慣れるのにね。


私は黙ってガムを膨らませた。