パタンッ


「あ…妹、具合悪そうだったね…風邪?」

陸は俯いた。

「…癌なんだ」
「えっ…」


癌…!?


「一度は治ったんだけど、また再発して…色んな所に転移しちゃって。もう…治らないんだ」
「そう…なんだ」

そんなの知らなかったよ。


「だから、1年前。妹の看病をするために学校も休学して、心配かけたくないから郁にも何も言わずに離れたんだ。海にも『彼女ばっかり構うから海が病気になったんだ』って責められて…ごめんな、郁。」

私の知らない所で、そんな事が…

なのに、私は…突然姿を消した陸を忘れようと必死になってた。


「私こそ…陸を支えてあげられなくて…」
「いや、僕が郁に何もいってなかったんだし…郁が悪く思う事はないよ。」

陸…―