すると。
「はい…」
引戸から陸が出てきた。
そして、こちらを見て私に気付く。
「郁…何でここに」
「…聞きたい事があるの。」
陸は少し間を空けた後、
「何…?」
と答えた。
「あ…のさ、この間。なんで、あんな事言ったの??」
「…それは…」
「…」
陸は言葉に詰まっていた。
私も黙ってしまう。
その時。
「お兄ちゃん??」
開いた引戸の奥から、調子が悪そうな陸の妹がやって来た。
「海…」
「お兄ちゃん、どうしたの?その人、誰?」
「いや…ちょっと待っててな。」
陸は気まずそうに妹を部屋に戻るよう促して、引戸を閉めた。
