え…


「もう…ほっといてくれ」
「ちょっと…!?」

そして、陸は走り去ってしまった。


待ってよ…―

陸はうっとうしいと思って、私から離れていったの??


どうして…―



ピルルル

「電話…」


明也からだ。

私は、すがる思いで明也からの電話に出た。


ピッ…

「…もしもし」
『おー、もしもし!郁、今なテレビで漫才見ててさ〜』


何も知らずに明るく話しかける明也に、なぜか涙が溢れた。


「ぐすっ…」
「…?どうした、郁」
「あ、明也…私ね…ひっく…ぐす」

少しの沈黙。

「私…」
「待て、今どこにいる??」

…??


「最寄りの駅前だけど…」
「分かった、すぐ行く!!」

明也…

電話じゃなくて、直接聞いてくれようとするなんて優しすぎる。