「お邪魔します」
「誰もいないのに、美以子はいつもそれだよね」

拓は笑う。


「癖で…つい」

拓と一緒にいても、仕事の癖は出る。


いつものように、椅子に座る。


依頼を受けるため、とは言っても。

ただ、私が拓に会いたいだけなんだけどね。


「拓、好きな人出来た?」


私は仕事として、聞かなければならない。


「…」

拓は黙る。


「…拓??」
「もしかしたら。運命の人、見つけたかもしれない」
「…え」

私は固まる。