家の中は、とてもキレイで整理されていた。


でも、誰もいない。


「あの、失礼ですが。ご家族の方は?」

椅子に座りながら、拓に問う。


「…5年前。交通事故に遭い、死にました」

拓はお茶を出しながら、悲しい顔で話した。


「そう…ですか」

私はそれしか言えない。


この人も、私と同じで最悪な人生なんだな。

いや、私より最悪か?


拓は1人。

でも、私は親に捨てられても智奈さんに拾ってもらえた。