え?

それって……



何か言葉を発しようとしたけど、


蓮の唇が、それを許さなかった。



そんな、なにも言わせない

言わないで、とでも言いたげな口づけは


少し乱暴で


でも、どこか愛しく感じた。


魔王でも、余裕が無いときがあるんだね。


うっすらと目を開けて、蓮の顔を見た。



切羽詰まったように、

目をギュッと閉じて、

眉をひそめてる。



いつもの無表情無感情な蓮じゃない。


人間味のある、素直な蓮だ。




しばらくして離れた唇は、熱くて溶けちゃいそうだった。


「もう気づいてるとは思いますけど…」



深い色をした漆黒の瞳が、真っ直ぐに私を見た。