愛、シテあげる。*完*

「離れることは本当に、蓮が望んでることなの?」


言葉を切って、蓮を見る。

前よりも伸びた前髪。その隙間から覗く漆黒の瞳は、未だに伏せられていた。


「……そうです」


「私と、離れることを、本当に?」


「君とは離れたほうがいいんです」


ほら、やっぱり。

泣きそうな私にだって、見抜けるよ。



「嘘」


「嘘だと思いますか」


伏せられた瞳が、やっと私をとらえた。



「うん」


「何故ですか」



何故?


やっぱり無自覚だったんだ。



蓮は嘘をつくのがうまいと思ってたけど


必死になると、こうも簡単に見抜けちゃうんだね。



「だって、さっきから蓮は、私のことを"君"と"あなた"って呼んでるでしょう」


「それがどうかしたんですか」


「蓮は、私を"あなた"って呼ぶんのは本心のときだけど、"君"って呼ぶときは……本心じゃないよね?」




好き、は"あなた"


離れたい、は"君"



もちろん、その考えは逆かもしれない。

だけどなぜか、私はそう思えなかった。


「蓮は、自分に嘘をついてるんじゃないの?」


「……」