「ッ蓮!入るよ!」
ノックもせずにいきなり入る
……何てことはできなかった。
勢いよく振り上げた右手は、取っ手ではなく茶色い扉へ。
ふるふる震えながら、ノックをした。
コンコン
「……」
一秒、二秒、三秒…。
長い。とてつもなく時がたつのが遅く感じる。
心臓はもちろん破裂寸前。
あぁどうしよう。もしもこのまま返事がなかったら。もう一度ノックする勇気なんてチキンな私には無い。
蓮お願い。
お願いだから、あなたに会わせて。
蓮に、会いたい。
「……どうぞ」
あ。
蓮の、声だ……。
甘いテノールの、
耳に柔らかく響く声だ。
私の、大好きな蓮の声。
たった3文字、聞こえただけなのに。
どうしよう。
泣いちゃいそうだよ。
だ、駄目駄目!
ここで泣いたら、駄目!
グッと涙をこらえて、震えながら扉を開けた。
ガチャ

