「あの…」



「来ないで!」



「あ「喋らないで!」









スーパーの袋を持つ私の5メートル後ろには、平然と歩く蓮君の姿。




あ~全く!信じらんない!




男性恐怖症の私に、

この私にッ!



き、き、き、///



「キス、初めてでしたか?」



「ギャー!///」



それを言うなー!!

足を止めて振り返る。
目を合わすのも嫌で、少し下を見ながら叫んだ。



「あのですね、非常識にも程がありますから!」



「すいません。可愛かったので、つい」


「かわッ…!?」



くっ……。


ど、動揺しちゃいけない!




「と、とにかく私は


「真央さん」



ビクッ



「男性恐怖症、なんですよね」



「……」



「近づきますね」



「…ッ」


男性恐怖症って知ってるくせに…!



「駄目ッ!」



「遅い」



「ぎゃっ」



気がついたら、目の前には蓮君が。



蓮君はスッと手を伸ばして……

















ガサッ



「え?」





「持ちます」





蓮君はスーパーの袋を手に、そのままテクテクと歩いていく。




「え…?」


すっかり、変態行為に走られるものだと思った……。



驚いて、蓮君の背中を見つめる。


シワの無い白いシャツが、西日でキラキラしてる。



「真央さん」


クルリと振り返る蓮君。


「帰らないんですか?」



「え…あ、はい」



私は止まっていた足を踏み出した。






……なんだろう、この人は。


勝手にキ、き……すして、勝手に優しくなって。



本当に読めない。


しかも何故か敬語だし、ほぼ無表情だし。


それに何だか…




「隣、きませんか」


「絶対嫌!」



「…はぁ」



強引で、なのに淡々としてて。











こんな男の子、初めてだ。




チラリと3メートル先を見ると、蓮君の黒い髪が、キラキラ光って綺麗だった。




でも…





「やっぱり隣「行かない!」


「……はぁ」