「あの中にナイトのリーダーもいるの?どれ?」


「ほら、あの真ん中の黒髪で目付きの鋭い感じの…」

二湖は虎太郎が指差す先を見た。

ナイトの軍団の中央に確かに目付きの悪い青年がいた。


キングのリーダーが白だとしたら、ナイトのリーダーは黒いイメージがする。

どちらにしても、対称的な二人だと二湖は思った。



「…あの…、すみません!!」


遠くから見ていても、ピリピリとした嫌な空気の中で、一番最初に口を開いたのは、間に挟まれて今にも泣き出しそうな女の子だった。


小柄で長い髪を二つに結んだ可愛いらしい子。

その小さな体をますます小さくして、その子は何度も頭を下げている。



「すみません、で済むと思ってんのかよ?人に水かけておいてさぁ」


制服を濡らしたナイトの生徒が詰め寄る。

どうやら女の子が間違ってその生徒に、ホースの水をかけてしまったらしい。


「本当にすみません。わざとじゃないんです。お花に水をやろうと思って…」


「だから、謝られても全然許す気になんない。黒松さん、何とかしてくださいよ。マジムカつくんすけど」