「げっ、二湖」


「げとは何、げとは」



放課後。


ふらふらと正門までの道を歩いていると、虎太郎と鉢合わせした。


相変わらず、二湖を見ると、嫌そうな顔をして、じりじりと後退りをする。



「ちょっと、何逃げてんの」


「別に逃げてませんよ?」

「じゃあ、その足を止めなさいよ」



二湖がそう言うと、虎太郎は諦めたように、がっくりと肩を落とした。



「何なの、コタは私がそんなに嫌いなわけ?」



細かいことはあまり気にしない二湖ではあるが、さすがにここまでの態度をされると、多少、気分が悪い。

そもそも、そんなに嫌がられるようなことをした覚えはない。


すると、虎太郎は小さくため息をついて言った。



「…別に嫌いじゃないっすよ。ただ二湖といると、なーんか悪いことが起きるっていうか、とばっちりを食うというか…」


「そんなことないでしょう?」


「いや、そんなことある」


2人がそんな押し問答を繰り返していると、近くで、誰かの怒鳴り声が聞こえた。