「ごちそうさまでした」



諒介特製のジェノベーゼを綺麗に平らげて、二湖は手を合わせた。

諒介の住む、2LDKのマンションは、男の独り暮らしとは思えないほど綺麗に整理整頓されていた。


キッチンももちろんピカピカで、見たことない香辛料や道具類が並んでいる。



「おじさんってば主夫!?いつでも嫁に行けるよ?」

「二湖も生意気に皮肉言うようになったか?」


諒介はそう言って苦笑いしながら食器を流しへ放り込んだ。



「お前、皿洗いくらいしろよ?」


「はーい」



そう言われ、二湖は立ち上がって流しに立った。


スポンジに洗剤をたっぷりつけ、皿をゴシゴシと擦る。



「ねぇ、おじさん?」


「何だ?」


「コタに色々聞いたけどさ、私やっぱり、あの学校の制度って気に食わない」



皿を洗う手を休めることなく、二湖は続けた。



「好きでやってるならまだしもさ、みんな仕方なく『キング』や『ナイト』に入ってるんでしょ?やりたくもない勢力争いして。何かバカみたい」