「さぁ、おじさん。きちんと説明してもらうからね」


一通りの挨拶を終え、二湖は諒介の仕事場、つまりは高等部医務室にいた。


幸い、医務室を使っている生徒はいなかったので、空いているベッドに座り、諒介を睨む。



「何かこの学校、おかしいんだよね。それに、おじさんが持ち掛けてくる話っていつも怪しいし」


「けど、その怪しい話に乗っかってきたのは二湖だろうが」


「それは、そうだけど…」


そう言われてしまうと、何も言えない。

二湖が黙り込むと、諒介は小さく笑って続けた。



「ま、仕方ないか。一ノ瀬家は代々好奇心旺盛なチャレンジャー家系だからな」


そう言って、机の上のコーヒーメーカーからコーヒーを注ぎ、二湖の前に置いた。



「よし。じゃあ、話してやるよ、この学校のこと。キングとナイトってのは、この宝華学園高等部に存在する二大勢力の名前だ」


「二大、勢力?」



二湖は諒介の言葉を繰り返して、首を捻った。