「残りはアンタだけだけど」


私は額から流れる血をぬぐいながら目の前に呆然と立っている赤鬼姫を見た。


「へぇ。すごいのね。でも、このあたしに勝てるの?」

「はっ。負ける気がしねぇな」

「っな!!何を根拠に・・・!!」


私の言葉に驚き、赤鬼姫は私を凝視する。


「だってお前。ホントに赤鬼姫か?」

「あ、当たり前だろ!!」

「嘘いうんじゃねぇよ。」

「な!?」

「朱嘉・・・?」


紅乃が私の名を呼ぶ。
一体何が言いたいの?そう言うかのように。


「確かに身長は似てるし猫目だし、髪は赤だけど・・・本物は武器を使わねぇ」

「えっ?」

「しかも目元にはホクロが一つしかねぇしタバコなんて絶対吸わねぇし」

「あ、アンタ・・・本物知ってんの?」

「知ってる・・・?」


私は自称赤鬼姫の言葉を聞いて花で笑った。

「愚問だな」

「なっ?」

「誰よりも知ってるし、わかっている」


私は言いながら自称赤鬼姫に近寄る。
赤鬼姫はじりじりと後退りする。


「なんで・・・知ってるんだよ?」


赤鬼姫は気圧されるように冷や汗をかきながらも聞いてくる。


「なんで?」


私はそこまで言うと自分の髪に手をかけた。


「私が赤鬼姫だからに決まっているだろ」


そういって私は髪をつかみ、下へ引っ張った。


「!?」

「っ!!」

「朱…嘉?」


三人は驚いた顔で私を見る。
いや、正確には私の髪を。凝視した。