「前の学校じゃあんまり面白いことなかったからなぁ・・・
 笑うこととか滅多にしなかったし・・・」

私は恵一の感想を聞いてつぶやいた。

「前の学校?ね、それってどんな感じだったの?」

紫希や恵一は私の前の学校に興味があるらしく
目を輝かせながら近付いてくる。

「えっとね、すっごいエリート学校って言うか進学校でね、
県内トップクラスに入る学校だったよ。勉強第一って感じかな。」

私が行っていた学校は、正直あまり好きではなかった。いやかなり。
勉強ばかりで会話なんて進路のことばかり。
クラスは学年順位ごとに分けられていた。
最下位クラスは荒れ放題で、先生達が手放すほどだった。

「文化祭も展示物くらいだったし、
唯一楽しかったのって体育祭くらいだったな」

私がそこまで言うと、
恵一がものすごく面白くなさそうな顔をしていた。

「んだよそれー。オレそこ行ったらマジ死ぬ。
香狩さん、ここ来て正解だと思うよ。
俺らもまだ文化祭とかしてないけど
去年見に行ったらめっちゃ楽しそうだったから。」

にかっと笑って恵一は私を見る。

「うん。ここは前の学校より居心地が良いから選んで正解だったみたい。
面白い人たちいるしね」

恵一の言葉に私は同意し、笑う。

 キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴ると同時に石崎先生が入ってきた。