「?どうしたの?」

不思議に思って聞き返すと藍華はハッと我に返って私を凝視した。

「???藍華?」

私はそんな藍華に戸惑いながら藍華の名前を呼んだ。
 
なんかしたっけな?

「笑った・・・」

ポツリと藍華はつぶやいたが私の耳には届かなかった。

「え?」

「朱嘉が笑った・・・」

驚いたような顔をしたまま私を凝視した後、
にこぉと満面の笑みを浮かべた。

「初めて笑った顔見た!!笑った顔すっごく可愛い!!」

「わぁ!!」

藍華は嬉しそうに笑うと私に抱きついた。

「もしかして誘ったのって・・・」

「そ、朱嘉の笑顔が見たかったからだよ。
朱嘉ったら紅乃ちゃんと話してた時以外笑わなかったんだもの。
馴染めてないのならこれは行くしかないって紫希と一緒に考えたの。」

藍華はそういって少し困った顔をした。

「ご、ごめん」

私はそんな藍華に思わず謝ってしまった。

「朱嘉が謝る必要はないよ。
ただ私達が朱嘉の笑顔が見たかっただけだから。」

にっこりと藍華は綺麗に笑った。

「それじゃ、帰ろっか朱嘉はどっち?」

「あ、私はこっち」

私は学校方向の道を指して答えた。

「そっか。じゃぁ私と反対方向だね。じゃぁまた明日」

「また明日」

藍華はそういって人込みに混じっていった。

「・・・帰るか」

私はそういって歩き出した。