colors

｢ね。学校じゃなかなか聞けなかったんだけど
朱嘉ってもともと地元がここだったんだよね？」

藍華が身を乗り出して聞いてくる。

｢うん。もともと生まれはここだよ。
でも両親の都合で県外に越しちゃって」

｢じゃぁ、あの噂も知ってるかなぁ?｣

紫希が水の入ったグラスをいじりながら藍華に聞いた。

｢？どんな噂？｣

｢赤鬼姫(あかおにひめ)って知ってる？｣

私はその言葉を聴いて一瞬びくっと体がこわばった。

｢あ・ああ。ケンカが強い女子のことでしょ？髪が赤いのが特徴の。｣

｢そ。でも、他にも特徴があるんだ。顔にﾎｸﾛが二つ。
身長は150ｃｍ前後。武器はバット｣

藍華はそういって私を見た。

｢タバコもすってるって聞いたよぉ？｣

紫希がいじっていた手を止めて話に入ってきた。
藍華はああ。そういうのもあったね。とうなずいた。

｢ね。その赤鬼姫がどうしたの？｣

私は早くこの話題を終わらせてしまいたかった。

｢あ、そうそう。でね。その赤鬼姫が帰ってきたって噂が出てきたんだ｣

藍華のその言葉で、私はまた固まってしまった。

｢帰ってきた････って?｣

私は嫌な汗が背中に流れるのを感じた。

｢そ。３年くらい前かな。
その赤鬼姫が急にいなくなったの。
その当時はどッかに行ったって言うのや、警察に捕まったー。
とか改正したとかって噂が出たんだけど、
本当のことは誰も知らなかったんだ。でも･･･｣

藍華はそこでいったん話を止めた。
どうしたのだろうと思ったが、
美緒さんがケーキを持ってきたから話を止めたのだとわかった。

｢お待たせ。･･･どう？」

私は藍華の話が気になったが、
おいしそうなケーキが目の前に来たのでひとまずケーキを食べることに専念した。

｢･･･おいしい｣

それは素直に言えることだった。
いろんなケーキを食べてきたが、
ここのケーキは今までに食べたケーキより私好みの味だった。

｢本当？良かった｣

美緒さんはホッとしたような笑顔を見せた。

｢うーんｗやっぱここのケーキはおいしいｗ｣