「紗矩告ったの?マジで!?」
朝の廊下で、親友のマユが素っ頓狂に声をあげた。
「しーーーーーっ」
マユの声に廊下にいた人たちが一斉にこちらに視線を向けてくる。
「声が大きいよ…」
私は、廊下の隅にマユを引っ張ってひそひそと話した。
「ばか!こういう事は静かに始めちゃだめだよ!みんなに知ってもらった方がややこしいことにならずにすむんだから…」
「…そうなの?」
「そうなの!」
恋愛初心者の私にはよくわからないけど…。
「それに、御所の為にもなるんだからね」
そう言ってニコッと笑うマユ。
「えっ?そうなの?…御所くんの為になるの?」
「そうだよ」
半信半疑だけど…御所くんの為と聞いたら、そうしなきゃいけないでしょ!!
「わかった」
「うんうん、そうしなそうしな!」
日当山真優(ヒナタマユ)。私の中学からの親友。容姿に関係なく私と仲良くなってくれた優しい子。…怒るとめちゃくちゃ怖いし…ケンカめちゃくちゃ強い。
「しかし、よく告ったね~弱気な紗矩ちゃんが」
「だ、だって…」
はい。って言われるなんて思ってなかったし…
「成り行きでこうなったと言うか……玉砕覚悟だったんだってば!!」
マユは、クックッと笑って私の頭をぐしゃりと撫で回す。
「ひゃ〜ぁ!朝から、頑張って巻いたんだよ!?やめてぇー!」
「あら。毎日悶々として、身の回りの事に無頓着だった紗矩が?巻いたときたか?」
「…なによ」
「いや、いいことだよ?あたしは応援するってば!!」
言いながら私の背中をバシッと叩いて、にっこり笑うマユ。
私、この笑顔に弱いんだ。
「…ありがとマユ」


