ゴチン!!



「~~~~~~っ!!」

私は無我夢中で峯村くんに頭突きを食らわせていた。


もう必死。ちょー必死だ。


体が離れて、私の横で頭を抱えながら微かに震えている腹黒男、峯村くんから離れるようにゴキブリのごとくカサカサカサカサと部屋隅まで移動する。


「痛ー…っっ、…あ。冗談、冗談ですよゆなさん」

峯村くんが体を起こして片手をわたわたと動かす。


じょ、冗談ですむかぁぁ!!


半泣きの私に「あーー…」と頭を抱える峯村くん。


距離を置いたまま、いつも以上に優しく、ゆっくり喋り始めた。




「ゆなさん、…ごめんなさい。ほんと、悪ふざけ、し過ぎてしまいました。」


ほんとにね!泣



膝をかかえたままじとっと峯村くんを睨む。



「その、あまりにもゆなさんが可愛いらしくて…いや、まぁ、その…擦れてないというか」


「!」



『可愛い』



という単語に、こんな状況にも関わらず…照れる。





「思わずS心が疼いたというか」



「いや、峯村くん、Sだったの?!」




真顔で申し訳なさそうに衝撃の事実を暴露されつつ、目に見えてシュンとしてる可愛い年下の男の子に、だんだん恐怖心はなくなってきていた。