と、
廊下を曲がったところのスタジオの前に、あの「おばさん」がたっていた。
…おばさん、というのは失礼なほど綺麗で、上品にカールした髪をファサッと揺らしながら、
何故か私を睨んでいる。
…えぇ??
ものごっつ目があった状態で、しかしセンセイも待ってるし、立ち止まる訳にもいかず、軽く会釈しながら、怖いオネエサンの隣を通り過ぎた。
「-…あなた、どうせ捨てられるわよ。」
ビクッ
女の人は相変わらず前を見たまま、私を見ずに吐き付けるかのように言った。
なんだか良く分からないが、少し体が震えた。
私は立ち止まらず、そのまま走り去った。
……一瞬の出来事だった。


