------------
--------
「良い度胸だね。」
「へ?」
『永瀬渡』は私を上から下までスルリと視線で舐めると、爽やかに言い放った。
…やっぱりおかしかったのかな?
初日だし、何するのかも分からないから、とりあえず就職活動中の大学生みたいな格好で、きたんだけど…。
スースーする足元を気にしながら、スタスタ歩く長身の男の後を追いかける。
それにしても…綺麗なビル。
電車を乗り継ぎ、たどり着いた都会の街。
家から一時間かかったんですけど…。
え?もしかして毎日?この通勤毎日?……ぐはぁ。
しかしこの人、綺麗に歩くなぁ。
綺麗な背中を眺めながら、年齢不詳の黒尽くめに問いかけた。
「あの、あの、私何するんですか?てかなんでこんな急なんですか?というか、なんで私なんですか??」
「…ここだよ、ゆな君。」
「ちょ、あの……ふぇー。」
バタンと扉が開けば、あたり一面写真だらけだった。
しかも、大きく引き延ばされて額に入れられているものは、びっくりするぐらいどれもこれも素晴らしくて、私は言葉を失った。
「……………ふわぁ。」
強烈に、引き込まれる。


