そして傍らの額を宝物のように拾い上げながら、私に語ってくれた。 「これはね、初めて大きな大会でグランプリを取って、人生が変わったときの写真なんだ。」 懐かしそうに眺めながら額縁を指でなぞる。 「あの頃はね、僕もまだまだ馬鹿なガキでね……」 まだ学生気分も抜けていない駆け出しの頃、 それなりに自分の才能に自信を持ちつつ、 評価してくれない周りの大人達に苛立ちを募らせて、 少しヤケを起こしていた時期に、センセイはその人に出逢った。