「柏井さん…すいませんこれよく分からないんでお願いしていいですか?」
猿渡さんが申し訳なさそうに、地味で簡単で大量の仕事を私に渡す。
「はーい、ラジャーです」
ごめん…猿渡さん。
本当は1からまた説明してあげればいいんだけど。
それが面倒臭くて仕事を引き受けてしまう。
「WATARUさーん、俺、手開いてるんで何かお手伝い出来る事ありませんかー?」
ウキウキしながらセンセイ目指して跳ねていく猿渡さんを見つめ軽くため息を吐く。
最近やっと分かり始めた。猿渡さんって、カメラいじったり現場の仕事は大好きだけど、地味でOL臭くてもくもくとする作業は苦手みたい。だってなんど教えてもそれだけは『よく分かんない』で終わっちゃうし。
…逆に私そういう作業好きだからなぁ。やっぱり仕事とっちゃってごめん猿渡さん。
ホントは年下でも先輩ならちゃんと叱ってまた1から教えるところなんだろうなぁ。
あぁ、先輩失格だな私。


