もちろん優輝にお願いして、いつも歌ってもらっていた。 静かに歌い始める優輝の声を、目を閉じて聴きいる。 ふわりと優しく抱きしめられているみたいに心地いい。 けれど、胸がギュッと締め付けられるみたいに苦しくなった。 どうしてあの時、私は優輝の手を離してしまったんだろう…。 私と優輝の恋は、高校に入って終わってしまった。 中学を卒業と同時に、優輝の引っ越しが決まっていた。 遠く離れた所に住む、おじいちゃんおばあちゃんとの同居。 初めて引っ越しの話を聞かされたのは、中3になってからだった。