「そのカメラ小僧はどんな奴だった?」
今度はマサキが聞いた
 「マサキより大きいかな、すらっとしてかわいい顔してたな。顔とは不釣り合いに声が低くて、別にオマエラと変わらない若者だよ。
『 持っているものがオマエラは楽器で彼はカメラってだけで。』」
満足げにウンウンと頷いている鉄っさんは最後の台詞を言いたかったんだとマサキもキョンも思った。
 このハゲかけている中年は酔うと名言を作りたがる、別に名言ではなくてもそれは鉄っさん語録に記入される。
記入された時、解りやすい満足げな顔する。
「ねぇ、今度来たら私に教えてね。」
満足した鉄っさんはキョンの願いに手を挙げて答え、他の席に移動していった。

「マサキも興味沸かない、出禁にされながらもカメラ担いでやって来る若者に。」
「いや、ぜんぜん。」
「ちょっと話してみたいな、うたのヒントがありそうなぁ。」
グラスに口づけ、目を細くしてマサキを睨む、
「わかったから、俺も一緒についてくよ。」
「ありがとう、ストーカーでなくて、素敵な出会いになりますように。 乾杯!」
キョンのグラスとマサキのグラスとで奏でた音は店全体に高く響いた。