ほどなくしてキョンは戻ってきた。
「写真やっぱもってたよ、次来た時見して貰う事にした。」
嬉しそうな声に聞こえる。
過剰に自分が反応している事もわかっている。
それなのに「次来た時・・・」その言葉が写真じゃなくて、立川イロに会える事への喜びの声に聞こえる。
「これで目的は達成?それよか、ストーカーじゃなくて良かった、じゃんか。」
「そうだね、そういった感じの子じゃなかったかな。」
小心者。
キョンの反応を探っていた。
「遠目からだけどなかなか身長あったよな。」
「マサキよりちょっと高いね。
残念。」
「いやいや残念じゃないから、それより
さ詩の続き、書けそう。」
本当はもっとキョンの気持ちを聞きたい。
詩なんてどうでもいい。
「たぶん。
それは彼会わなくても出来そうだったから。たぶん出来るよ。」
「こないだはできないかもって。」
「あぁ、こないだはこないだ。つくれるときはつくれるんだよ。わかんでしょ。」
そんな事は知ってるよ、ただ他に返す言葉がみつからなかった。
少しの沈黙、二人の間には珍しい空気。
「うちらも片付け行こうか。」
キョンがマサキに言う。
「あ、うん。」
マサキが返事を返す前にキョンはおくに歩きだしていた。
歩きだしたキョンの後ろ姿にマサキは発作的になげかける。
「運命とか感じた?」
「はぁ?」
振り向いたキョンは驚きにもとれる怪訝な表情をするキョン。
マサキは耳が熱くなるのを感じた。
「いや詩のヒントとかに。」
慌ててごまかす。
「感じたね。」
真面目な顔でキョンは言う。
マサキは急に息が出来なくなった、
胸が締め付けられる。
「・・・。」
返事をかえせない。
マサキの目をまっすぐに捕らえるキョン。
マサキも視線を外す事が出来ずに、吸い込まれるような瞳を見続けていた。