それが始まったのは、優衣が母親から再婚の話を聞いた数日後のことだった。


その日、井上との一件があり龍之介を避けて一日を過ごした優衣。


泣きそうになりながらもいつものように帰り道を歩いていた優衣は近所に響く怒鳴り声に驚き顔を上げた。




「お母さん…お父さん…?」




その原因を見れば言い合いをしながら家を追い出された母と、玄関から喚き散らすように叫んでいる父の姿。


何故母がここにいるのか。


不思議に思いながらもその姿に直感的に感じた嫌な予感。

それが優衣にとって良いことでないのは明らかで。


当たらないでほしいと願っても、そうなってしまうことを優衣は知っていた。


そしてそれは最も最悪な形で現実のものとなる。