気分は見上げた空同様、晴れやかだった。




「あ、ありがとうございましたー!」




少し焦ったような、そんな声とともにカランカランと涼しげな音を奏でて開いた扉。


ガラス張りのそれを潜り中から出てきたのは、えらく長身で目付きの悪い男で。

後ろに見えた店員であろう男の営業スマイルがピクピクと引きつって見えたのは気のせいではないだろう。


それを気にする様子もなく歩みを進めていく男。

黒のジャージに白のワイシャツ(若干血のようなものが付着している)を着た彼は銀色に輝く髪を揺らしていた。




「久しぶりだな、この色」




根元から毛先まで綺麗な銀に染まった自分の髪を見ながら苦笑する龍之介。


あの時、龍之介の視界に入った店の正体。

それがあの美容室だったのだ。