彼女の涙を拭ってやるのは自分の役目だと、龍之介は柄にもなく本気でそう感じていた。

そしてそれは決して間違いではなかっただろう。


確かにそこは龍之介の居場所だったのだ。


それなのにもかかわらず吐いてしまった暴言。


悔やんでも悔やみきれないとはまさにこのことだろう。




(本当…何やってんだよ)




綺麗な涙を瞳の奥に閉じ込めさせ、守るべき相手を深く傷つけてしまった。

その事実が龍之介を追い詰める。


大きな体全体をぼすりとベッドに沈め、自己嫌悪に苛まれる龍之介。



すると



ガチャ




「ちょっと龍ー!?あんたいつまでそうやって学校休むつもりなのよ!」




ドアが開くのと同時に聞こえてきた声に自然と漏れる溜息。