「………」


「………っ」




目の前に立つ龍之介に顔を俯かせる優衣。

その光景はまるで蛇に睨まれた蛙のようで。


つい先日も同じような雰囲気になった二人だが、あの時とは明らかに漂う雰囲気が違う。




「何で、避けてんだ」




地を這うような、言い逃れは許さないとでも言いたげな龍之介の声色に、無意識に引ける優衣の腰。




「さ、避けてな…っ」


「避けてんだろ」




嘘吐くな、と低く問い詰められ優衣は取り繕う言葉すら見つけられない。

勿論龍之介は故意的にそうさせないようにしているのだが。



数日ぶりに近くで見る龍之介の姿にドキンと胸がときめく反面、ひた隠しにしたい黒い感情が優衣の心にまとわりつく。