翌日から始まった龍之介を避ける生活。



龍之介を視界に見つけるたび、そこに井上の残像が重なって。


そのたびに、ぎゅっと胸が張り裂けそうなほど苦しくなった。

そして無意識に龍之介の傍から逃げ出す優衣の足。




会いたい。


会いたくない。


近づきたい。


近付けない。


抱き締めてほしい。


触れるのが怖い。




相反する感情が優衣の中で飛び交う。まるで優衣を試すかのように。


自分ではコントロールしきれない気持ちに優衣は龍之介を見ることすら出来なくなって。



しかしそんな日々が呆気なく幕を閉じたのはそれから数日後のこと。


人気の極端に少ない授業開始直前の特別棟にある家庭科室でのことだった。